蚊は叩きつぶさずにはじき飛ばす

皮膚で血を吸っている蚊をやっつける時は、バシッと手で叩きつぶすのではなく、ピシッと指先等で払いのける方が良いと今月号のニューイングランド・医学ジャーナルが伝えている。

叩きつぶしてしまうと、皮膚に付着した死骸の破片により、伝染病に感染する可能性があるからだと研究者は述べている。この理由として昨年、Brachiola algeraeと呼ばれる菌が筋肉に入り込んだため死亡した57歳の女性の例が挙げられている。

蚊の唾液から感染する病気としてマラリアが有名だが、この女性を死に至らしめた菌は蚊やその他昆虫の体内にのみ存在する菌で、唾液感染はしない。このため当初、医師はどうやって女性の体内にこの菌が進入したのか分からず困惑していた。


現在、一切の原因はこの女性が蚊を叩きつぶした事にあるとされている。その為、菌を含む粉々になった蚊の死骸の破片の一部が、血を吸っていた時にできた小さな穴から体内に入り込んだ。結果、蚊の体内にしか存在していない菌に感染してしまったと結論づけられている。

ニューヨークのアルバート・アインシュタイン医科大学のクリスティーナ・コイルさんは、「蚊が血を吸っている真っ最中は、バシッと叩きつぶすのではなく、指ではじき飛ばして追い払った方が安全です。」と見解を述べている。

一方、コロラド州にある米国疾病管理予防センターで蚊の研究をしているロジャー氏は、叩きつぶそうがはじき飛ばそうが、どちらにしても感染の原因がその事にあるとは科学的に証明されていないと話す。また、「はじき飛ばせば感染しない」とは決して断言できないと指摘している。