なぜペットボトル入りの牛乳はないのか?

 ジュースやお茶など、ペットボトル入りの清涼飲料は、いまや当たり前。しかし、ペットボトルの牛乳は全く見かけない。どうしてだろう?

「乳製品の衛生基準を定めた乳等省令で、牛乳の容器はガラス瓶か紙パックと決められているため、ペットボトルは使用できないのです」と言うのは、日本乳業協会。大手牛乳メーカーの答えも、判で押したように同じだった。

「省令制定は昭和27年で、当時、栄養価が高い乳製品は主に病院食として使われていました。そのため、清涼飲料と違って厳しい衛生基準が必要だったんです」(厚生労働省食品安全基準審査部)

 ペットボトルが不衛生だというわけではない。省令ができた時代に、ペットボトルが存在しなかっただけのことだ。

「ですから、牛乳メーカーからの申請があれば、省令改正も検討します」(厚労省

 現に、フルーツ牛乳やヨーグルトなどは、申請を受けてペットボトルの使用が認められ、すでに商品化されている。軽い上に、落としても変形しにくいペットボトルはやはり便利だ。

 なのに牛乳については、どのメーカーも認可を申請していない。その理由を大手メーカーに尋ねて、ようやく聞けた理由はこんなものだった。

「牛乳は雑菌が繁殖しやすいので、ペットボトル化するには『一度口をつけたら残さないで』『常温で持ち歩かないで』と注意する必要がある。また、認可申請の手続き上、安全性の実証データも提出しなければならないんですよ」

 要するに面倒臭いということか。牛乳のペットボトル化が実現しないのはメーカー側の怠慢と言われても仕方ない!?