スマートなチップの渡し方


◆スマートなチップの渡し方

荷物を運んでもらったり、レストランで食事をしたり。旅行中なにかとついてまわるのがこの「チップ」です。

“ついうっかり忘れてしまった”ということもありますが、それが続くと「日本人はチップを払わない(=マナーを知らない)」という評判が定着してしまい、日本人全体に対する対応が冷たくなってしまうことも。そんなことにならないために、まずはチップに慣れることから始めましょう。
※なおチップの慣習は、国・地域により大きく異なります。ここでご紹介している内容は、あくまでも“基本的には”ということでお読みください。


◆そもそもチップとは
「日本にはチップは存在しない」と思い込んでいませんか?
実はそんなことはありません。分かりやすい例が「サービス料」です。ちょっと高級なレストランで食事したときには10%(時にはそれ以上)のサービス料をきっちりと支払っていますよね。


また、日本旅館などでおなじみの「チップ=心付け」というのも海外では誤解です。アメリカに代表される地域では、チップは労働報酬の一部とみなされ給与システムに組み込まれています。つまり、給与の一部を、そのサービスを受ける側(つまり客側)が支払うというシステムなのです。システムであれば、そこにある程度の「義務」が生じます。


しかし、同時にサービスの満足度によって金額が変化するという「心付け」的な側面も持ちあわせています。これが、「チップは単に心付け」という誤解を招いている原因の一つです。


正規料金以外にお金を払うというのは、なんとなく損をしているように感じてしまうものですが、チップというモノサシで相手のサービスを評価するのだと考えれば、理解しやすいのではないでしょうか。



◆スマートなチップの渡し方とは

■基本はタイミングと渡し方
「スマートさ」を決定づけるのは、「タイミング」と「渡し方」です。ポイントは、いつでもさっと出せるようにポケットなどに小札をしのばせておくこと。1ドル札を5枚程度と5ドルを1〜2枚ほどポケットに入れるか、マネークリップなどに留めておきます。



■タイミング〜1ドル程度なら財布は出さない〜
支払う時にモタモタしてはスマートではありません。すっとポケットから1ドル札を出して払うか、マネークリップに留た小札を取りだし、必要額を渡します。ここをキメられればスマートです。


ここでわざわざ財布を取りだすのでは、タイミング的にもモタついてしまいますし、場所によっては危険なこともあります。海外では、人前で財布を見せてはいけません。もちろんどこから財布を出すのかも。1ドルが手元に残り、財布は消えてしまうなんて事にもなりかねません。


人前でわざわざ財布を出す時は、20ドル以上の大きなチップを払うような場合です。(20ドル以上は“大きなお札”と認識して下さい)こんな時は相手に“Excuse me.”と言ってから、おもむろに財布から20ドル紙幣を取り出し、にっこり笑いかけながら“Tnank you.”と言って渡します。



■渡す時は相手の目を見ながら
チップを渡す時は、相手の目を見ながら4つ折りくらいに折ったお札をすっと渡しましょう。ボーイたちは受け取った瞬間に手のひらに収められたお札にチラッと目を走らせます。その表情を見て取ることができれば、自分の渡した額が適切だったのか、多かったのか、少なめだったのかがわかるでしょう。(もちろんこれは“高等レベル”。はじめからその表情を読み取るのは難しいかと思いますが)



■あなたが女性の場合は
あなたが女性の場合は、ポケットから出すのはエレガントとは言えないかもしれません。ハンドバッグを開けるのであれば、さっと取り出せる口付近に1ドル札を折りたたんでしのばせておくと良いでしょう。
スマートな行為とは、習慣づいた自然な行為でありそして合理的な動作です。相手も「サービスのしがい」のある、自分も「気分がよくなる」そんなチップの払い方ができると素敵ですね。





◆ピローチップ(枕銭)は必要か?
これも国・地域によって異なりますが、基本的なマナーとしてピローチップを置くことをおすすめします。


快適なホテルライフを送るノウハウとして、こんなふうに考えてみてください。


あなたの「ベッドを快適に整え」「バスルームをみがき」「室内を整頓」してくれる、そんなメイドの気持ちの良い仕事ぶりをもし目の前で見たら、ありがとうの言葉とともに数ドルのチップは自然に払えるでしょう。ピローチップもそれと同じことです。つまりはチップを通したコミュニケーションなのです。


ピローチップの額は最低1ドル程度からですが、3★クラスは1〜2ドル、4★クラスは2〜3ドル、5★クラスならば3〜5ドルくらいが適当でしょう。また靴の泥などでカーペットをかなり汚してしまった時などは、さらに5ドルくらい置くと良いでしょう。
「Thank you for your good service.」などど一言メモを添えてチップをベッドに置いてみてはどうでしょう。「Thank you for your kind tip.」などと返礼のメモが残っていたり、一輪の花が添えてあったりと、心が通うサービスが感じられるかもしれません。そんな体験って、素敵だと思いませんか。




◆チップ使いの上級者とは
“チップ使い”の上級者になると、こんなことも自然にできます。その例を一つご紹介しましょう。
ラスベガスなどのカジノホテルでは、チップが重要な役割を果たします。あらゆるサービスがチップによって差別化されています。チェックインの時にホテルクーポンとパスポートを提示し、フロントの人がコンピューターをたたき始めた数秒後に、10ドル紙幣をそっとしのばせてこう言ってみましょう。
“I will appreciate if you can assign a good room, thank you.”
もしかしたら、10ドル以上の効果を期待できるかもしれませんよ?