肥満あるいはやせた人は、普通の男性より精液の濃度が低く、精子の数も少ない


 若い男性で、肥満あるいはやせた人は、普通の男性より精液の濃度が低く、精子の数も少ない−−。BMI(body mass index)と精子の質の関連を調べたデンマークの研究で、こんな事実が明らかになった。デンマーク国立病院発達生殖研究部門のNiels E. Skakkebak氏らがFertility & sterility誌の10月号で発表した。

 研究グループは、徴兵検査を受けた男性の1558人(平均年齢19歳)を対象に、それぞれのBMI精子の質や生殖ホルモンとの関連を調べた。

 その結果、BMIが25kg/m2より高い、いわゆる肥満のグループは、精液濃度が普通の男性(BMI;20−25kg/m2)より21.6%(95%信頼区間、4.0%−39.4%)低く、精子の数は23.9%(95%信頼区間、4.7%−43.2%)少なかった。

 一方、BMIが20kg/m2より少ないグループは、普通の男性に比べ精液濃度が28.1%(95%信頼区間、8.3%−47.9%)低く、また、精子の数も36.4%(95%信頼区間、14.6%−58.3%)少なかった。

 BMIは、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で算出される体格指数。BMIが25以上は肥満と判定される。≧18.5〜25>は標準体重で、<18.5を低体重としている(日本肥満学会)。

 なお、BMIが高くても低くても、正常な精子の割合は減る傾向にあったが有意ではなく、運動精子の割合は、BMIの影響を受けていなかったという。精液の濃度が低い、あるいは精子の数が少ないからといって、直接、生殖能力に影響するわけではなさそうだ。